不動産コラム

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不動産M&Aとは? そのメリット・デメリットも解説

宅建士25年目で不動産コンサルタントの坂口 貴長隆です。

近年では、不動産M&Aという言葉が少しずつ広がっています。

そもそも、M&AとはMergers and Acquisitions(合併と買収)の略で、企業同士が統合したり、ある企業が他の企業を買収することで、

不動産M&Aとは、不動産を保有することに特化した法人(いわゆる不動産賃貸業がメインの会社など)が株式を譲渡することで、法人ごと不動産を移転(売却)することです。

 

例えば、不動産オーナー(社長)が何かしらの事情で会社が所有する不動産を売却したいと考えた時、その不動産を売るのではなく、会社の株式(経営権)を売却することで、買主に不動産ごと譲渡するという感じです。このやり方は、税負担が少ないことから、不動産の現物を売却するよりも多い手取り額を残せる可能性があります。

 

1つの事例として、

時価1億円の収益不動産を所有する法人の場合で、

・不動産を売る現物取引

・株式譲渡による不動産M&A

の手取り額を比較し、それぞれのメリット・デメリットについて説明します。

ただし、正確な手取り額を算出するためには、取得費、減価償却費、仲介手数料、税率、株式の簿価など、詳細な情報が必要なため、ここでは一般的なケースを想定して説明します。

 

前提条件(一般的な例)

  • 収益不動産の状況:
    • 時価:1億円
    • 帳簿価額(取得費 - 減価償却累計額):5,000万円
  • 売却にかかる費用:
    • 仲介手数料:時価の3% + 6万円 + 消費税(ここでは概算で330万円とします)
  • 税率:
    • 法人税等実効税率:30%(仮定)
    • 株式譲渡所得税率:20.315%(所得税・復興特別所得税)

 

 

① 収益不動産を現物取引で売却した場合の手取り額

 

  1. 譲渡益の計算:

  2. 税金の計算:

  3. 手取り額の計算:

現物取引のメリット:

  • 手続きが比較的シンプル: 不動産の売買契約に基づき、登記移転などの手続きを行います。
  • 譲渡益の計算が明確: 不動産の売却価額と帳簿価額に基づいて計算されます。

現物取引のデメリット:

  • 法人税等の税率が高い: 譲渡益に対して法人税等が課税されます。
  • 仲介手数料がかかる: 不動産仲介業者に仲介を依頼した場合、手数料が発生します。

 

 

② 株式譲渡する不動産M&Aをした場合の手取り額

 

このケースでは、収益不動産を保有する法人(以下、A社)の株式を譲渡することで、実質的に不動産の所有権を移転させます。

  1. 株式譲渡価額の決定:

    • 一般的には、A社の資産(主に不動産)の時価や収益性、負債などを考慮して、A社の株式の譲渡価額が決定されます。ここでは、簡略化のため、A社の株式譲渡価額が1億円で合意されたと仮定します。
  2. 株式譲渡益の計算:

    • A社の株主(ここでは法人とします)が、その株式を取得した際の価額(簿価)を考慮する必要があります。仮に、株式の簿価が1,000万円だったとします。
  3. 税金の計算:

  4. 手取り額の計算:

株式譲渡のメリット:

  • 税率が低い可能性がある: 株式譲渡所得税率は、一般的に法人税等実効税率よりも低いため、税金が少なくなる可能性があります。
  • 不動産取得税・登録免許税がかからない: 買い手側は不動産の直接的な取得ではないため、これらの税金がかかりません。
  • 包括的な取引が可能: 不動産だけでなく、法人に付随する権利義務(賃貸借契約など)もまとめて移転できます。

株式譲渡のデメリット:

  • 手続きが複雑になる可能性がある: 株式譲渡契約の締結、株主名簿の書き換えなど、現物取引よりも手続きが煩雑になる場合があります。
  • 買い手側のリスクが大きい: 買い手は法人全体の財務状況や簿外債務なども引き継ぐ可能性があるため、デューデリジェンス(買収監査)が重要になります。
  • 仲介手数料が発生する場合がある: M&A仲介業者を利用した場合、手数料が発生します。

 

手取り額の比較と結論

上記の前提条件に基づけば、

  • 現物取引の手取り額:約8,170万円
  • 株式譲渡の手取り額:約8,171.65万円

となり、株式譲渡の方が若干手取り額が多くなる可能性があります。

ただし、これはあくまで仮定の条件に基づいた試算です。実際の手取り額は、不動産の帳簿価額、株式の簿価、売却にかかる費用、税率などによって大きく変動します。

 

どちらを選択すべきか?

 

どちらの方法が有利かは、法人の状況、株主の状況、買い手との交渉など、様々な要因によって異なります。

  • 現物取引は、手続きが比較的シンプルで、不動産のみを売却したい場合に適しています。
  • 株式譲渡は、税負担を抑えたい場合や、法人全体を譲渡したい場合に検討されます。ただし、買い手側のリスク(売主の簿外債務など)も考慮する必要があります。

 

最終的な判断は、税理士やM&Aの専門家などにご相談の上、慎重に行うことをお勧めします。詳細な財務状況や税務上の影響を考慮したシミュレーションを行うことで、より正確な判断が可能になります。

 

私どもリアルターでは、税理士と連携してオーナー様の状況によっては、相続を控えているなどの理由から「今は、売らない方が良い」など、よりベターなタイミングなど総合的にサポートしています。

 

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